カジノの終焉ーこれまでのカジノ・IR推進と、今後の検証についてー

11月9日、カジノを考える市民フォーラム「報告集会」〜横浜市長選挙を終えて・カジノの終焉〜に参加しました。市長選結果と分析(上林得郎氏)、市民フォーラムの活動報告(青木マキ氏)、そして、記念講演「カジノ構想の終焉」(静岡大学・鳥畑与一教授)と、前市長がカジノ誘致を発表してからの2年間にわたる市民フォーラムの取り組みを聴きました。

2019年9月20日の本会議でカジノ・IRの2億6,000万円の補正予算が自民・公明の賛成多数で可決されました。その議決後に、政策・総務・財政常任委員会の参考人に鳥畑与一教授を招致する、経済波及効果や税収効果の試算根拠なども明らかにせず市民説明会が進められ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の中でも粛々とカジノ・IRが進められてきました。

 

カジノを考える市民フォーラムは、山下ふ頭の横浜港運会館で水上裕之氏(横浜港運協会常務理事)による「ハーバーリゾート構想を聞く」、11月には鳥畑教授の「カジノ幻想を学ぶ」、12月にはカジノの設計に携わってきた建築デザイナーの村尾武洋氏、住民投票条例制定の直接請求運動の前には、成蹊大・武田真一郎教授の講演など、ひとりひとりがカジノ・IRに対して考えて行動するための学ぶ機会を実施されてきました。

村尾氏の講演会では、建物の設計には動線だけではなく音や照明など、人をカジノに呼び込むため緻密に計算されていること、子どもたちと性産業との関わりについても学び、絶対につくらせてはならないものだと決意を新たにしました。

2021年1月の臨時市会で住民投票条例制定案が自民公明の賛成多数でが否決された時も、地域では「悔しい」だけに留まらず、「諦めずに次にどんなことができるか」という声を聴きました。武田教授の「住民運動が起こったことにより、必ず政策が動く」という言葉に励まされました。

鳥畑教授「横浜市でカジノ・IR事業を阻止できたのはミラクル」

新型コロナウイルス感染症の拡大により、カジノ事業者の業績も悪化していることに加え、オンラインでのスポーツ賭博、カジノが主流になっている今、巨大な地上型カジノの収益は見込めません。「誰ひとり取り残さないというSDGsの観点や、ギャンブルなど、環境や社会に望ましくないと考えられる企業を除外するESG投資の観点は持続可能な社会をめざす世界のトレンド。持続性のある地域社会の成長を展望した時、衰退産業のカジノ・IRに頼る選択はありえないのではないか。」という力強い言葉に、会場参加の多くの方が頷かれていました。

衆議院解散とともに野党が提出したIR廃止法案も廃案となりました。大阪出身の私としては、大阪、和歌山、長崎など、他都市の動向も気になるところです。11月9日の市長定例会見で山中市長は、「カジノ・IRに関しての報告書を年度内にまとめ、一般公開する。誘致に至った経緯、必要な部分は外部の意見も聞く」と発言しました。これまでの経過について客観的に検証することは、市が10億円以上の予算で使ってきたカジノ・IR事業を終焉させるためにも必要なことで、きちんと検証されるよう注力していきます。