ナラ枯れを考える 青空ミニフォーラム

講師に樹木医の持田智彦さんをお呼びして、桜台公園で「ナラ枯れ」を考える青空ミニフォーラムを開催しました。久しぶりの対面形式で、参加者は、抱っこの赤ちゃんから小学生の子どもたちも含め、31人ものたくさんの方々でした。このミニフォーラムのきっかけは、地域の方からの「身近な場所でもナラ枯れが心配」という1通のメールからでしたが、同じように心配する方が地域にたくさんいることがわかりました。

真剣に学ぶ小学生の姿も。今日は青空ミニフォーラムでした

ナラ枯れとは

ナラ枯れは、ナラ類、シイ・カシ類の幹にカシノナガキクイムシが穿入し、ナラ菌を木の中に運び込むこと、菌が増殖して通水障害が起こり葉が枯れる樹木の伝染病です。樹種によって枝部の枯れに止まる場合(クヌギ、スダジイ等)と、枯死に至る場合(ミズナラ、コナラ、マテバシイ等)と様々。

奈良県HPより

ナラ枯れの対策

市有地(横浜市、川崎市を一部含む)でのナラ枯れは2019年は60本、2020年は約4,000本と劇的に増加している状況です。持田さんによると「カシノナガキクイムシは新しい木を好むので、これから爆発的に増えることはないのではないか」ということでしたが、一方で「たくさんの木が既に穿入されていると考えると、今後枯死した木の倒木が増える危険」も指摘されました。

まだ穿入されていない木には、薬剤の注入、粘着シートを木の幹に巻きカシノナガキクイムシを捕獲する方法で未然予防。穿入された後の駆除の方法は、くん蒸や短い薪にする方法があり、乾燥させて薪にする過程が木の中にいる幼虫の駆除になり、成虫になって飛散するのを防げます。桜台公園でも伐採した枝や樹を手作業で薪にしていると伺いました。参加者からは、薪だけではなく、細かいチップや、炭にしたり、もっと低コストで、うまく循環させる方法はないだろうかと、様々な思いを聴きました。

木と人とのつきあい方が変わった、今。

1950年代からの燃料革命で、薪や炭が使われなくなり、樹齢40年以上のナラ類の樹々が全国的に増えました。ナラ枯れは、私たちの生活様式の変化、管理されない木々の問題など様々な要因があり、私たちへの問題提起ではないか、と持田さんはおっしゃいました。ミニフォーラムを閉じた後も、持田さんへ質問や、参加者同士での話が尽きませんでした。子どもたちの未来にどんな環境をつなぎたいか、どんな社会にしたいか、真剣な声を聴き、色んな人たちと対話する大切さを改めて感じました。ナラ枯れの問題は、私たちの暮らしと密接に関わる問題であり、継続的に考えていきます。