障害福祉から考える社会保障のこれから

障害福祉から勘がる社会保障のこれから
主催:神奈川ネットワーク運動・青葉 
講師:又村あおいさん(全国手をつなぐ育成会連合会 常務理事兼事務局長)
2024年は医療・介護・障害福祉の診療報酬が改定される年です。今日は、障害者総合支援法、児童福祉法の改正のポイントや現状を又村あおいさんに伺いました。
子どもの分野では、児童発達支援センター(横浜市では療育センター)の役割強化、家族支援強化、学齢児までスーパーバイズが求められますが、施設が足りているとは言えない現状です。保護者の就労支援のお話のところでは、障害児は19時まで放課後等デイサービスを利用できるが、大人になると15時半までになり、キャリアアップしてきた親が仕事を変えなければならず、やりがいや収入の減少も考えられます。子ども側も生活していく中での経験(特別支援学校と放課後等デイサービスではその子たちがインクルーシブな体験ができないこと)、その子の状態に合わせた環境になっていないと強度行動障害が強まってしまうなど、障害児支援の質の向上は高度な専門性、スキルが求められています。

障害者総合支援法の改正では、「グループホームからの卒業」支援の強化や、地域生活支援拠点の赤眉を市町村の努力義務として明確化、自立支援協議会の機能強化、就労移行支援継続支援の利用対象拡大など概要を伺いました。本人を中心に、住むところはあるのか、地域の人が理解し時々様子を見にきてもらえるのか、身近なところで働けるのか、病院や買い物はできるのかなど、生活全般についてアセスメントし、何が問題でどう解決するのか。本人が議論の場に参加し、意思決定できる支援体制をつくるためには、さまざまな職業と地域の人の協力が重要であると感じました。

障害者総合支援法の目的、基本理念のとおり、障害の有無にかかわらず基本的人権が尊重され、地域で安心して暮らせる社会でしょうか。ヘルパーの人材不足や、人の心に寄り添うことができる専門性をもった人の育成がすすまない(こちらも人材不足)など、課題もたくさん出てきました。

能登でも、自分も被災しながら訪問看護を続けているナースや、上下水がまだ使えず疲労が蓄積している中でも、避難者さんのハローワークにつきそう職員さんの姿もありました。制度は4月1日から始まるけれど、誰もが自分らしく暮らせるための制度を、逆行させないように。ミスマッチを起こさないように、政策提案していくこと。今回の学習会で新しい参加を広げたことや、感想で「今回の学習会のことを私から友人に広げていきたい」という声があったことに希望をもちました。つづきでも自ら一歩踏み出す人を広げていきたい。