はまっ子どうしThe Water事業の終了

12月13日の水道・交通委員会では、「はまっ子どうしThe Water 」事業について終了の報告がありました。神奈川ネットは予てから、環境負荷の問題、事業採算性など、何度か指摘してきました。しかし、約20年にもわたり事業を進めてきた横浜市。委員会では、これまでの経過、収支、製造過程での環境負荷について聞きました。

はまっ子どうしThe Water事業は、2003(H15)年から開始されましたが、売上本数は、開始後わずか5年の2008(H20)年の234万本をピークに減少してきました。売上は、コロナ禍以前から決して良くありませんでした。

気になる収支

はまっ子どうしThe Water事業のここ数年の収支については、

2020年度:収入77百万円(販売収入44百万円+広報価値換算額33百万円)ー支出59百万円(製造費と配送費44百万円+人件費14百万円*)、収支差額は18百万円。

*2020年度の人件費は、正規職員1人、再任用職員1人の2人分を計上。

2019年度:収入111百万円(販売収入70百万円+広報価値換算額41百万円)ー支出85百万円(製造費+配送費+人件費)、収支差額は26百万円。

2018年度:収入112百万円(販売収入80百万円+広報価値換算額32百万円)ー支出98百万円(製造費+配送費+人件費)、収支差額は14百万円。

一見、黒字に見えますが……、

広報価値換算額とは?

水道局長によると、「マーケティングの専門家に依頼し、例えば新聞の全国紙に掲載されると、1回あたりいくら、タウン誌に掲載されると、1回あたりいくら、TVに映ると1回あたりいくら、というように、数値(係数)があり、それを掛け合わせたもの。その年度の実態に応じて、いくらの価値があったもの、というように算出し、2011年から収入の費目に入れている」ということですが、広告料金単価の算出方法が曖昧で、広告換算で広報の価値を測ることはできないという見解もあり、あくまで参考値程度で、収入を補完するものではありません。

実際の収入と支出は?

この広報価値換算額がなければ、本事業は2020年度、2019年度はマイナス1,500万円、2018年度はマイナス1,800万円の大赤字です。人件費についても正規職員1人と再任用職員1人分しか計上されていません。もっと多くの職員が関わっていると考えられ、人件費が度外視されており、実際の支出は更に増えると考えます。水道局長は、「はまっ子どうしはPRのツールであり、黒字化することが目的ではない。」と言いますが、それならば、見せかけの黒字にせず、これまで収支をありのまま公開して来ればよかったのではないでしょうか。この状況では事業の継続は困難です。

はまっ子どうしができるまで

はまっ子どうし製造の過程は、道志村までタンクローリーで水を汲みに行き、またタンクローリーを走らせ、群馬県か静岡県どちらかの工場まで行き、そこでボトリング。タンクローリーのガソリンや排気ガス、工場での生産過程。ペットボトルのゴミの問題だけでなく、大きな環境負荷がかかっている事業と言えます。

情報の公開が、やはり重要

今年度は、水道料金の値上げもありましたが、今後の人口減少社会で料金収入は更に厳しい状況になります。局長はたびたび、「今後も水道局として徹底した経営努力に努める」と発言してきました。本事業の継続は市民の理解は得られないでしょうし、事業終了は適切であったと思います。しかし、本事業の収支について記者発表資料など、市民にわかりやすい形でつまびらかに公開していれば、もっと早い時期に適切な判断ができたのではないでしょうか。本事業に限らず、収支が厳しい他の事業に関しても、きちんと収支を公開していきただきたい。