寄りそい、伴走する回復支援とは

「医療現場から見たギャンブル依存症対策」ことぶき共同診療所、越智祥太医師の学習会に参加しました。コロナ禍で老若男女、様々な年代の方が生活困窮に陥り、オンラインでのギャンブル等依存症に陥る人も増えています。現場の実態と、「横浜市依存症対策地域支援計画(仮称)素案」の見解を伺いました。

IR推進法の附帯決議を契機に、ギャンブル等依存症対策基本法がつくられた背景には、当事者、家族等の深刻な状況への対策と、カジノ・IR誘致によるギャンブル等依存症者の増加への懸念が考えられます。しかし、自治体の施策の「横浜市依存症対策地域支援計画(仮称)素案」には、カジノ・IR誘致のことはコラムでしか取り上げられていません。

依存症の種類には、物質依存と、行為依存と、対人依存がありますが、素案には、対人依存の観点が抜け落ちています。物質依存、行為依存、対人依存、関連し合い、重複していることも多くあります。依存症の原因の根幹には、孤独感、孤立感があり、それを埋めるために依存してしまう。回復は、信頼できる人間関係の中で、アルコール、ギャンブルをやらない日を、1日1日積み重ねていくことであり、自助グループの果たす役割が非常に大きく、人との関係構築が重要です。

疾病対策の一次予防(未然に防ぐ)、二次予防(早期発見、早期治療)、三次予防(再発予防)の過程で、で特に重要なのは一次予防の視点です。例えば、感染症対策では、接触しない、ギャンブル等依存症に対しては、カジノをつくらないことが環境設定で大きな意味を持つはずですが、素案ではそこには触れず、二次予防を展開した、一次支援、二次支援、三次支援(回復支援)に置き換えられています。また具体的な目標設定、効果評価も書かれていません。

一番大事なのは、当事者、家族等関係者の声を聴き、ニーズに合った施策にしていくことです。真に寄りそう支援、伴走する支援につながるよう、私もパブリックコメントを提出します。

 

「横浜市依存症対策地域支援計画(仮称)素案」はこちらから閲覧できます。

「横浜市依存症対策地域支援計画(仮称)素案」のパブリックコメント(2021年4月6日まで)はこちらから提出できます。