「DV被害者支援」 民間シェルター等が担う多様な支援
内閣府男女共同参画局は、2020年4月から2021年1月に、国や自治体のDV相談窓口などに寄せられた相談件数は、16万2,241件で、前年同期の約1.5倍となったと報告しています。
中でも、5月、6月の相談件数は、前年同月比でそれぞれ1.6倍に増加し、7月以降も前年同月と比べて1.4倍から1.5倍で推移してします。コロナ禍において、DV被害が深刻化していたことがわかります。DVをはじめとする複合的困難により、社会的に孤立し、生きづらさを抱える被害者が、安心して過ごせる場が存続できないことは大きな課題です。あらためて、相談支援や居場所の確保など適切な支援体制が求めらます。3月8日には、予算特別委員会で、横浜市のDV支援事業に関連して質疑を行いました。
まず、横浜市 DV 相談支援センターにおける相談件数ですが、2020年4月から5月は、前年度実績に比べて約1.7倍と増加しています(6月以降は前年並み、もしくはやや減少)。
これについて、横浜市は、「特別定額給付金に関する相談が多かったと認識している。」と分析しています。
しかし、これらの数は、横浜市DV相談支援センターに寄せられた件数のみで、市の委託先である民間4団体をはじめ、民間の相談機関等に寄せられる相談件数は把握されていないことがわかりました。
市は、DV防止法に基づいて、神奈川県が委託契約している民間団体(4団体)には補助金を交付し、その活動について把握をしていると答弁していますので、相談状況についても、当然把握されるべきです。
緊急一時保護のためのシェルターは、所在する場所を秘して被害者支援にあたってきたという特徴から、その活動は見えにくいものですが、DVをはじめとする複合的困難により、社会的に孤立し、生きづらさを抱える女性の支援が求められ、多様な形の民間シェルターや相談センター等を運営する団体も少なからず存在しています。
2020年度は、内閣府による「性暴力・配偶者暴力被害者等支援交付金」によって、横浜市でもパイロット事業として、民間シェルター等が行う先進的な取組みへの支援が事業化されています。
シェルター運営団体は、シェルターやステップハウスを退所した後も、住まい探しや就労に向けた支援、食糧支援、健康面のサポートなどの相談に対応し独自の事業として実施しています。
民間シェルター等が行う先進的な取組みへの支援として実施された退所後支援は、これらをサポートする意義ある事業です。2021年の予算では、一時保護施設等の退所後支援、アフターケアとして、退所後支援事業に携わっていただく方の人件費、外国の方への翻訳等の費用について、補助を拡充する方向を確認しました。しかし、これらも「本市が補助をしている団体」という前提条件があります。
いわゆる民間4団体に限らず、民間シェルターは、先駆性、柔軟性、地域性、専門性を発揮し、地域社会においても、不可欠な資源として重要な役割を果たしています。そういった団体の多くが単年度の助成金を獲得してなんとか事業を継続しているという実態もあります。支援者が経験を積み専門性を高めても、人件費が捻出できず、高齢化を問題に施設運営継続ができないことは全国的な課題とされています。
こうしたパイロット事業を活用して、潜在的なセーフティネットとなっている民間団体の活動を掘り起こせるような取り組みを検討すべきです。今後も事業の実施状況を確認し、提案を続けます。