一時預かり&一時保育〜「予約システム」は馴染むでしょうか?〜


コロナ禍を経験し、子どもや子育てを取り巻く環境や、働き方・暮らし方にも様々な変化が見られます。横浜市が「保育に欠ける」という概念を超えて、働いていても・いなくても必要な預かりを行う一時預かり事業に先進的に取り組んできたことは今後の多様な保育ニーズへの対応においても重要な意味を持つものであり、層の拡充が必要であると考えています。
次年度は、乳幼児一預かり事業の運営費を増額するとともに、利用料の減免制度も導入される予定です。これらは、長年にわたり訴えてきたことであり、引き続き多様な保育の展開に期待しています。

利用する側にとっては、一時保育と一時預かりの違いはほとんどなく、どちらもなかなか予約が取りづらいというような受け止めなのではないかと思います。そんな一時保育と一時預かりの情報については、一元化され提供されることが望ましく、昨年も横浜ユニット連絡会の皆さんと提案をさせていただところです。

横浜市こども青少年局の2021年度予算案案には、「保護者の利便性向上に向け、保育所等での一時保育及び 乳幼児一時預かり事業において、予約システムを構築します。」とあり1100万円の予算が計上されています。
私たちが求めた「一元化された情報提供」から一歩進んで、予約システムの構築まで事業化されたようです。
資料によると、先月、2月15 日、乳幼児一時預かり事業施設長会にて、初めてシステム導入について報告され、「導入開始時期は2022年度の早い時期を予定しています。」と説明されています。同時に各施設へのアンケートも実施され、急ピッチで準備が進められていますが、一時保育を実施する保育所に対しての情報提供はこれからです。
本来ならば、圧倒的に施設数の多い保育所と調整しながら検討すべきだと思います。さらに、4月には組織改変があり、乳幼児一時預かり事業を所管する子育て支援課と、一時保育事業を所管する保育・教育運営課が一つの課になる予定です。ならば、新たな組織で検討しても良いのでは?なぜこんなに急ぐ必要があるのでしょうか。

現在、乳幼児一時預かり事業は全市で25か所で総定員数は349人しかありません。一時預かりも一時保育も定期利用枠や、緊急受け入のために、定員のうち一定の枠をそれぞれの事業所の運営方針に基づいて予約を受けずに確保されている状況もあります。そうなると、システム上で予約できる定員枠は、かなり限定的になると思います。施設長会で説明されたような旅行サイトであるとか地区センターの予約のようなシステムで対応できるのでしょうか。

乳幼児一時預かり事業においては、利用児童が低年齢化していることや、配慮の必要なお子さんや家族支援の必要なケースも増えています。問い合わせや申し込みの電話が相談支援の入り口となるケースもあることを考えれば、一時預かりや一時保育の予約業務が一律の予約システム化に馴染むのか、やはり疑問が残ります。
事業所や保育所の意見も聴き、十分検討し判断して欲しいと思います。

一時預かりや一時保育の利便性を高めるためには、事業所を増やし、定員を拡大させることが先決です!