対等な関係 〜障がい者の在宅介護の課題について〜
障がい者の在宅介護の課題について、上光秀明さん(指定居宅介護事業所 株式会社 風花 代表取締役)にお話を伺ってきました。上光さんが会社を立ち上げた当初は、誰もがもつ「自分らしく生きたい」という権利が尊重されず、制度も使いづらく、ひとりひとりに寄り添っていく中で、制度をつくったり変えていく必要を感じ、実践されてきたお話をお聴きし、あっという間の時間でした。
介護のイメージを変えたい
風花さんの事務所は、ただ単に仕事をする場所ではなく、「気楽に職員も、利用者さんも立ち寄れる雰囲気にしたい」と。実際にそうなっているようです。事務所はオシャレで、そしてまた、尿瓶にお花がさされていたり、スライスした車椅子が飾られていたり、バービーちゃんのお友だちの車椅子に乗ったベッキーちゃんがいたり。
利用者さんとスタッフが相互に関係しあって、成長していく。「支える人」と「支えられる人」ではなく、対等な関係。率直に話し合える関係をつくることを丁寧に行われていることが伝わってきました。約40人のスタッフの平均年齢は30歳代で離職率も低いこと。介護のイメージをポジティブに変えていきたい、もっと良くしていきたいという熱い気持ちを聴かせていただきました。
大学等での学びを支える制度の課題について
大学等で講義を受けるために通学、教室に到着して、テキストや筆記用具を出したり片付けたり。移動、食事、排泄と切り取られた場面だけではなく、さまざまな行動の連続性の合間に存在するものに対して、意識の欠如があり、制度が使いづらくなっている。生活と学習に必要な身体介護に対する単価の考え方や時間の考え方が現実に即していない課題もお聴きしました。
子どもから大人になっていく過程で、児童福祉法、障害者総合支援法と制度が変わっていくこと、障がいを持つ方が高齢になり、介護保険サービスを必要とするときや、医療保険を使用する際など、制度が複雑すぎて利用者も事業者も混乱してしまう事例や、深刻なヘルパー不足の問題など話がつきませんでした。状況は深刻ですが、今の現状の把握をし、利用者さんにとって使いやすい制度になるよう一緒に考えていきたい。