「ナラ枯れ」を考える青空ミニフォーラム その3

7月10日、早野聖地公園(川崎市麻生区)で「ナラ枯れ」を考える青空ミニフォーラムpart3を開催しました。早野聖地公園里山ボランティア小泉さん、加藤さんにレクチャーいただき、参加者は10人でした。

早野聖地公園里山ボランティアは、里山再生、炭焼き、農業体験、地域とのふれあい、の活動方針で、23年活動されています。早野聖地公園内でナラ枯れを初めて発見されたのは、2020年8月22日。枝打ちを実施後、ボランティアの手で伐採されました。実際木が生えていたところまで歩いて行ってみましたが急傾斜地でたどり着くまで大変でした。この急傾斜地で巨木を安全に伐採するには綿密な計画と15人もの人手が必要だったと聞きました。

いただいた資料には多くの写真が使われており、わかりやすく、「成長して大径化したコナラ林(旧薪炭林)が一面に広がるという状況はかつての里山の姿とは大きく異なっている」という、薪や炭から化石燃料へのエネルギーの転換と管理利用が消滅した里山林の問題が指摘されていました。ナラ枯れした巨木の伐採と炭焼きして活用すること、植林をすること……里山を持続するには人手が必要であり、経費の問題、公有地、民有地の問題など様々な問題が絡み合っていることも改めて考えさせられました。

カシノナガキクイムシが入った木。ポツポツ小さい穴があいています

つくった木炭、竹炭をみせていただきました

 横浜市の公園・樹林地でナラ枯れが最初に発見されたのは2019年。2019年60本、2020年約3,000本、2021年約3,400本。ナラ枯れを含む公園維持管理日は、32億283万円(昨年+6,345万円)の予算が計上されていますが、横浜市の担当者に確認したところ、ナラ枯れ対策にどれくらいかかったか詳細を分けていないことがわかりました。ナラ枯れの調査も行われず、これまでのナラ枯れ対策の費用の検証もできず、今後の見通しもつけられません。また、市の公園、樹林地では点在的な被害で面での被害が出ていないため、現在は植林までは手が回っておらず、公園等の利用者や周辺住民の安全確保を第一に、園路や広場沿い、住宅地や道路に接する外周部を優先して伐採するにとどまっています。

早野聖地公園でのナラ枯れに対して、焼却・炭焼き、木酢液散布、炭にできない木を埋める、ことが実施されています。ナラ枯れした木とそうでない木で、炭になった時の質の差は特に感じられないということでした。この炭は、二ヶ領用水(川崎堀)の水質浄化、麻生区役所のトイレの脱臭に活用され、川崎市のスマートライフスタイル大賞も受賞されました。

木酢液もつくられています

気候危機も待ったなしの今、化石燃料から自然エネルギーへの大きな転換が求められていますが、木と私たちの付き合い方も立ち止まって考える時期に来ています。川崎市など他自治体の対策や市民の活動を参考に、できることから取り組むことが大切と考えます。